SDGs「持続可能な開発目標」に取り組んでいる企業は半数以下

SDGsとは?

2015年9月25日、ニューヨークの国連本部に参集し、持続可能な開発のための2030アジェンダを採択しました。

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a katz / Shutterstock.com

この2030アジェンダには、今後15年間にわたって政策と資金確保の指針となる新たな17の持続可能な開発目標(SDGs)が盛り込まれています。グローバル・ゴールズとも呼ばれるこれら目標の起点をなすのは、あらゆる場所で、恒久的に貧困に終止符を打つという歴史的な誓約です。(UNDPより)

世界を変えるための17の目標はこちら
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世界的な認知を広げるために、ハリウッドスターなどが集い、キャンペーンも展開しています。

SDGsは、2000年9月に世界が合意した15年間にわたる共通のアジェンダ、ミレニアム開発目標(MDGs)を引き継ぐ形で生まれました。以前、日本の国連大学にて、ジェフリーサックス氏の講演会に参加する機会がありました。彼の説明の中には、このMDGsによって確実な成果を挙げることができた、というものでした。特に、1990年以降、2億人以上が飢餓から抜け出すことができ、「極度の貧困と飢餓の撲滅」に関しては、以下の通り、顕著な成果が達成されました。

しかしながら、未だ解決できていない社会的課題は山積しています。17のチャレンジは、単なる政治的目標ではなく、国、企業、個人、全てのレベルで取り組むべき目標でもあります。

何よりも、ビジネスセクターこそが、この目標を脅威と考える、機会として捉え、真の持続可能な社会と組織(サステナビリティ)を構築することが期待されています。

SDGsが採択されて1年。企業として真摯に向き合い、取り組んでいる企業が半数以下という記事があったので、今回ご紹介します。

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取り組んでいる企業は半数以下

SDGsの目指すところは高く、その目標達成には民間企業の関わり方が鍵になると言われています。しかし、最近の2種類の調査結果によると、SDGsに対する取り組みができている企業はまだまだ少ないというのが実情のようです。

SDGsは、これからの15年をかけて達成を目指すわけですが、この期間に必要とされている投資金について、最低でも年間3兆ドルもの予算が不足するという試算が出ています。各国が目標達成を実現するためにはプライベートセクターの参画が非常に重要になってくることは確実です。

しかしながら、世界各国のサステナビリティのプロ2,045人(うち36%は企業/ブランド勤務)を対象に調査したEthical Corporation’s State of Responsible Business 2016 reportによれば、SDGsに対する取り組みを実施している企業は半数以下という状況が明らかになっています。

また、サステナビリティのコンサルティングファームであるCorporate Citizenshipの研究では、SDGsについて企業が具体的アクションを取らないことは、消費者(特にミレニアム世代と呼ばれる人々)の信用問題につながる可能性もあることが指摘されました。ミレニアム世代の81%の人が、SDGsの目標達成には企業が重要な役割を担っていると認識している一方で、大多数の企業がアクションを起こしていないというギャップが生じているためです。

Business and Sustainable Development Commission(持続可能なビジネス活動に取り組む非営利団体)の議長であり、 国連の副事務局長を務めたこともあるLard Mark Malloch-Brown氏は、次のように語っています。

「この状況は想定内。 “持続可能なビジネス” というのは、未だに人々の関心を集めるムーブメントとなっている。ただ、サステナビリティを “ビジネスの根幹”と捉えている人と、あくまでも “つけ足しの要素” と捉えている人がいて、人によって捉え方にまだまだ差がある領域でもあるのだ。」

アメリカの参画度は低い

Ethical Corporationの調査によると、SDGsに対する取り組み度合を地域別にみた場合、アフリカ・ラテンアメリカ・中東が最も高く、北米が最も低い(37%)という結果になっています。

「アメリカに本社がある企業というのは、ヨーロッパにあるカウンターパートに比べ、国連が発起する戦略に取り組むことが遅いことがままある。」と語るのは、サステナビリティのコンサルティングファーム BSRのCEOであるAron Cramer氏。Cramer氏はこう続けます。「しかし、彼らは “まずは行動、話すのは後” という形を好む傾向がある。そのため、アメリカの企業であっても、マイクロソフト社のように、国連の目標と自社の事業を統合して、早々に事業戦略に落とし込んでいるような優れた会社が沢山あることも事実。」

また、同調査によると、先進国はまず「気候変動に具体的な対策を(SDG‐13)」に取り組む傾向がが強いようです。一方の途上国では差し迫った開発課題を優先しており、例えばアフリカでは「質の高い教育をみんなに(SDG‐4)」が最もよく取り組まれている項目となっています。

企業や各種ブランドに勤める調査対象者が最も強く関心を向けていたのは「気候変動に具体的な対策を(SDG-13 )」(63%)という項目。次に、「働きがいも 経済成長も(SDG-8)」(52%)、「つかう責任・つくる責任(責任ある消費と生産)(SDG-12)」(51%)の項目が続いています。特にSDG-12への関心は、アパレルなどの消費財関連企業や製造業で特に顕著でした。また、「貧困をなくそう(SDG-1)」(22%)と「飢餓をゼロに(SDG‐2)」(20%)の項目については、最も関心が弱いという結果になっています。

 

ビジネスとSDGsの融合

SDGsの取り組みを民間企業で広く実践していくのはまだこれからの段階ですが、自社のサステナビリティ戦略とSDGsを統合するための基盤づくりを始めている企業はあります(Malloch-Brown氏談)。

国連グローバルコンパクトのリーダーシッププログラムチーフ Ole Lund Hansen氏は、次のようにコメントしています。「各企業が、自社の活動がどこに貢献するべきか(人間なのか、経済なのか、環境なのかなど)を判断したり、どの目標から取り組むのかを優先順位づけをする前に、人権や環境問題に対してしっかりとしたアプローチを築くことは土台として不可欠である。」

「そこを前提として、どのSDGsが自社の目的に重なるのかを考えたり、すでに自社で実施している持続可能な開発活動の振り返りを行っていくべき。より広い視野で目標内容を捉えながら、自分たちがどの領域であれば一番変化を生み出せるのかを判断することが大切。」(Cramer氏談)。

また、Hansen氏はこう付け加えています。「企業は、従業員のパフォーマンスを振り返る際に、SDGsに関連する目標達成についても触れるようにして、従業員にも意識を持たせるべきである。」

リスクマネジメントファームのDNV GL のレポートでは、SDGsに対する何らかの取り組みを行っている企業17社(ユニリーバ、シーメンス、マークス&スペンサー、ダノンなど)に焦点をあて、これらの企業が、目標達成に向けて “大きなアクション” をとる準備ができていると表現しています。

同レポートによると、こういった企業の特徴として、自社の成長とサステナビリティの重なりを見出す能力があることが挙げられています。様々なコラボレーションを考えたり、技術を駆使して規模を拡大しながら、SDGsの達成を自社の競争優位性につなげて考えている企業といえるのです。

SDG-10「人や国の不平等をなくそう」に着手している企業として、ケニアの大手通信会社 Safaricomがあります。この会社はモバイル送金のプラットフォーム「M-Pesa」を開発・提供しており、今ではアフリカ、アジア、ヨーロッパで2,500万人に上るユーザーを獲得しています。

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同社のサービスは、従来の金融サービスにアクセスできない人々でも、携帯電話を使ってお金のやり取りができるというもの。この革新的なアイディアは、新エネルギー・ヘルスケア・食糧&農業といった分野へも応用され始めています。例えば、オフグリッド電源(自家発電など送電線網を利用しない電源)の会社として、M-Kopa Solar社は、東アフリカの400,000人の顧客にソーラーエナジーを供給しています。(料金は、M-Pesaで支払うという仕組み。)

飴と鞭

ユニリーバのCEO Paul Polman は、「SDGsは、企業のビジネス目標、投資判断の中心に据えられるべきもの。また、それは“人生で最大のビジネスチャンス” を提供してくれているものである。」と語っています。実際に、ユニリーバの「Sustainable living」を謳っているブランド(サステナビリティと事業目的が重なっているもの)は、同社の他ブランドに比べ30%も早い成長を遂げているそうです。

PwCのグローバルサステナビリティリーダーであるMalcolm Preston氏は「民間企業にとって、開発に不可欠な課題について、今以上の法律やインセンティブ、抑止力が示されることが必要かもしれない。」といいます。また、Malloch-Brown氏は「目標達成に向け、今後は更にバランスのとれた投資基準が必要になる。特に、化石燃料の代替エネルギーと再生可能エネルギーへの投資は注視すべき。」と語っています。アショカ財団のArchana Shinha氏も次のようにコメントしています。「インドでは、恩恵を多く受けている大手の組織は、年間利益の最低2%はチャリティに寄付するという義務がある。そのような感じで、政策立案者は、企業が持続可能な開発に取り組むことに一定の強制力を持たせてもいいかもしれない。」

そして、Malloch-Brown氏は次のように締めくくっています。「各国の政府は、ビジネスセクターにとってどのような環境整備が必要なのか、もっと詳しく状況を把握する必要がある。資金調達のため、企業に開発分野に参画してもらうとして、彼らが利己的なマーケットメーカーではなく、長期的なビジネスモデルに投資する意識をもっているかどうかを、しっかりと確認してほしい。」

記事元 The Guardian News 2016

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